発達心理学論文備忘録*論文千本ノック

最近読んだ論文(主に発達心理学、英語)の備忘録を記しています。論文千本ノックチャレンジと題して、論文千本読もう!とこのブログをはじめましたがどうなることやら…。内容には間違いがあるかもしれませんので、論文の内容に関心のある方は原文を読まれることをおすすめします。丁寧に読んだ論文からざっと読んだ論文までいろいろなので、文章のクオリティは保証しません。

Newman et al. (2000). The transition to high school for academically promising, urban, low income, African American youth.

Newman et al. (2000). The transition to high school for academically promising, urban, low income, African American youth. Adolescence, 35, 45-66.

www.ncbi.nlm.nih.gov

 

アブストラクト

オハイオ州の教育システムでは、6年生で学業的に優秀な低収入層のマイノリティの生徒は、介入プログラム(Young Scholars Program)に参加することができる。本研究では、このプログラムに参加したアフリカ系アメリカ人生徒に対して、9学年への移行に関する知覚を回答するよう求めた。具体的には、動機づけ要因、友人、両親、先生、近隣住人の役割が検討された。対象者の生徒は同様のストレッサーに直面していたが、一部の生徒は学業的成功を達成することができた。本研究の結果は、母親の重要性、9学年のカリキュラムの困難さ、より大きく複雑な学校環境への適応に関して強調する。

論文を読んだ印象

高校移行研究としては古い年代の論文になる。現在もそうであるが、高校移行についての大きな関心は、低所得層や民族的マイノリティの適応にあるといえる。この点、日本の高校移行を考える場合、海外の知見がどう生かされるかは少し検討しなければいけない。日本の場合、アメリカと比較して民族の多様性がないので、日本の高校で民族的なマイノリティがどのように適応するかというかというリサーチクエスチョンは立ちにくいように思えるためである。そうしたRQを立てる研究よりも日本人が移行を通じてどのような発達的変化を遂げるのかを海外に向けて報告するほうが意義があるだろう。なぜなら、高校移行研究はアメリカの教育システムのもとで研究されることが多く、日本初の知見はほぼ見当たらないからである。つまり日本での知見は貴重なのである。アメリカの研究者が日本の高校移行を研究したくでもなかなかデータが手に入らないだろうし。